プログラムの著作権はどのように認められるのか|平成21年(ネ)第10024号に見る著作権の認められ方

 投稿日時
2014/09/02 15:04:44
 最終更新日時
2014/09/02 15:04:44

プログラムの著作権

2014/09/01発行の判例タイムズ1402号を見ていたら、エンジニアとして無視できない判決が出ていました。
判決は平成24年1月に出ており新しいものではありませんが、なかなか面白いです。

この裁判は

  • プログラムの著作権が原告にあること
  • 被告はプログラム使用料を原告に支払うこと

を求めたものですが、結論としてプログラムの著作権は原告には認められないとされました。
著作権が無いと判断された要因が、コメントの有無です。エンジニアの方には信じられないかも知れませんが、見てみましょう。

プログラムに著作権が認められる場合

そもそも、著作権が認められる「著作物」とは何なのでしょうか。
著作権法第二条1項では著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされています。このことから、たとえ自分で何かプログラムを書いたとしても、「当該機能を発揮させるためには当該表現しかあり得ない場合」(判例タイムズ1402号より引用)には創作的に表現されていないことから、著作権は認められません。
また、著作権法第十条3項で、プログラミング言語、規約、解法については著作物とはならないとされています。

これについてまとめたものが判例タイムズ1402号にありましたので、以下に引用します。

「プログラムの著作物性を認めるためには,本判決のように,指令の表現自体,その指令の表現の組合せ,その表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅があり,かつ,それがありふれた表現でなく,作成者の個性,すなわち,表現上の創作性が表れていることを要求するのが一般的である。」

著作権を認めてもらうために

一エンジニアの私見

ここからは私の私見ですが、ソースコードを書く際にはコメントを詳細に書いてはどうでしょうか。それも、「どういった機能か」ではなく、「何故この命令を選んだのか」というコメントです。
この裁判では、原告は当初ソースコードの提供も行わず、ただプログラムは著作性を有すると主張していました。裁判所にソースコードだけを見せて「著作権を認めろ」というのは難しい話で、本来ならば原告はそのプログラムはどういった点で著作物に該当すると考えられるかを指摘する必要がありました。

ですが、後から思い出して「何故その命令やAPIを選んだのか」「何故その書き方をしたのか」を示すのは難しい話です。
上記のコメントを最初から書いておくことで、そのプログラムの創作性を認める助けとなるのではないでしょうか。

判決を読みたい場合

この判決は裁判所のHPからPDFがダウンロードできますので、興味がある方は読んでみてください。また判例タイムズ1402号にも掲載されています。
私は上で『裁判所にソースコードだけを見せて「著作権を認めろ」というのは難しい話』と書きましたが、判決からはかなり細かくソースコードを読み込んだことが読み取れ、裁判官の方には頭が下がります。

また今回のブログとは関係ありませんが、こちらの判決では証拠として提出された議事録が偽造された疑いがあるとしています。その根拠は以下のものです。

  • 「り」と「総」の書体が当時使用していたワープロのものと異なる
  • 当時使用していたワープロでは同じ余白が再現できない

2時間ドラマのようで面白いですね。判決は文字ばかりで見にくいという方も、こういった箇所を探してみてください。