「海外のサーバーを使えば逮捕されない」はもはや幻想|平成24年(う)第2197号

 投稿日時
2014/04/15 18:33:35
 最終更新日時
2014/04/15 18:33:35

海外のサーバーならば犯罪し放題?

インターネットの世界でよく言われていることに、「違法なファイルをアップロードしても、それが海外のサーバーなら逮捕されない」ということがあります。
誰が言い始めたというわけではありませんが、まことしやかにささやかれており、知恵袋などでもそういった質問が見られます。この根拠となるものは、以下の二つのようです。

  • 国内の捜査機関が捜査しようとしても、海外のサーバーは情報を開示しない可能性があるから。
  • 海外のサーバーにアップロードしたものは、サーバーが置いてある国の法律で裁かれるから。

私もネットにあるこの言説を信じていたのですが、本日『ジュリスト臨時増刊 平成25年度 重要判例解説 』を見ていたところ、以下のような判決を目にしました。

東京高裁平成25年2月22日判決(平成24年(う)第2197号)

これは、被告人がアメリカのサーバーにわいせつな動画を置いて顧客にダウンロードさせた行為が、わいせつ物の頒布に当たるとされた事例です。(余談ですが、こういった事例は今までは「公然陳列罪」とされるところ「頒布」に当たるとされたことで前述の本でも重要とされています。)
上に書いたとおり、アメリカのサーバーを使用しているならアメリカの法律で裁かれるために国内犯にはならないのでは、と弁護士も主張しました。以下が判決からの引用です。

本件は,アメリカ合衆国内のサーバコンピュータに置かれたサイトの運営により,インターネットを通じて行われたものであるから,本件を国内犯として処罰することはできない。

しかし、この主張は以下のように却下されています。

被告人らは日本国内における顧客のダウンロードという行為を介してわいせつ動画等のデータファイルを頒布したのであって,刑法175条1項後段の実行行為の一部が日本国内で行われていることに帰するから,被告人らの犯罪行為は,刑法1条1項にいう国内犯として処罰することができる。

確かに、サーバーの場所よりその犯罪行為自体がどこで行われたかどうかが重要であるというのは自然に感じられます。
違法なアップロードを行っている方は、サーバーの位置を気にするより、どうやって合法なビジネスに移行するかを検討する時期が来ているのでは無いでしょうか。