Mt.Goxの凋落はBitcoinの未来に影を落とすか

 投稿日時
2014/02/28 13:55:02
 最終更新日時
2014/02/28 13:55:02

Mt.Goxの凋落

Mt.Goxからの2014/02/26のアナウンス

Mt.Goxからの2014/02/26のアナウンス

2014/02/26、かねてから不安定だったMt.Goxのサイトがダウンし、世界中のBitcoin取引者に衝撃を与えました。Mt.GoxはBitcoinとお金(円やドル)を両替できる「両替所」であり、かつて2013年04月には世界の70%以上が取引されていたと伝えられています。それが28%までシェアを落とし、今回のような状況。
Mt.Goxの運営はずっと状況を改善すると述べていたのですが、その上で今回の事態です。取引者に与えた衝撃は相当なものでしょう。

どうやらBitcoinという電子通貨は意外と世間に浸透していたようで、今回のニュースも多くの報道が報じ、Yahoo!ニュースのトピックスにも複数回取り上げられました。
そこでのコメントとして、「怪しげなものに投資したのだから仕方ない」といった趣旨の発言も散見されました。
意図としては分かるのですが、少し私の認識とは違うので、私の知っている状況を書こうと思います。

Bitcoinの先進性

そもそも、Bitcoinとは何なのでしょうか。
Bitcoinはナカモトサトシという人物が公開した論文で発表されたシステムを実現したもので、完全にネットワークに存在する通貨です。
この論文の中で、ナカモト氏は既存の通貨の問題点として以下を挙げています。

  • rely almost exclusively on financial institutions serving as trusted third parties to process electronic payments
    信頼できる第三者機関となる金融機関にほぼ依存する
  • limiting the minimum practical transaction size and cutting off the possibility for small casual transactions
    実務でのトランザクションはサイズが限られてしまう(小さい取引ではかかる手数料に見合わないため)

それを解決するため、A Peer-to-Peer Electronic Cash System(P2P電子マネーシステム)としてBitcoinが考案されました。

Bitcoinが抱えていた二つの問題

そんなBitcoinですが、二つの問題を抱えていました。これは仕様上存在する問題で、どの両替所にも共通の問題です。

double spending(二重使用)

一つのBitcoinを間を開けずに二回使用することで、タイミング次第では二回利用できてしまうという問題です。

transaction malleability(トランザクション展性)

近年明らかになった問題で、非常に深刻な問題です。 シナリオとしては、まずBitconをMt.Goxなどの両替所から送金してもらいます。次に、相手が送金してきた取引を不正なフォーマットに改変し、それを拡散させます。
まず影響として、不正なフォーマットを直すために負荷がかかります。また取引自体に手を加えるため、double spending問題と同様に、何回もお金を受け取れることになります。つまり、DDos攻撃や、Bitcoinの多重使用問題を引き起こすことが可能なものです。

この二つの問題について詳しく知りたい方は、以下のページなどをご覧ください。
■CoinDesk|What the ‘Bitcoin Bug’ Means: A Guide to Transaction Malleability
http://www.coindesk.com/bitcoin-bug-guide-transaction-malleability/

Mt.Goxの凋落はMt.Goxのせい

「それじゃあやっぱり、Bitcoinの不具合のせいでMt.Goxはダウンしたのか」というと、それは正しくありません。
まず上記のtransaction malleability問題に対応するには、両替所で使用されているソフトウェアを修正すれば良いのですが、Mt.Goxはそれを放置していたと言われています。

また、2013年06月から他の両替所には何も問題がないのに、Mt.Goxのみ大きな遅延が出始め、Mt.Goxはアメリカドルでの引き出しを中止しました。
その原因として考えられるのが、2013年05月にMt.Goxが所有していたオンライン支払い口座をアメリカ裁判所に差し押さえられたことです。

差押えの理由

裁判所も、何も過失がない会社の口座を差し押さえることはしません。
差押えの理由は、Mt.Goxが実態としてはマネーサービス業をしているにも関わらずそれを隠し、必要な登録をせず法律に違反したことです。
たまに「差押えを受けるような危ない通貨に投資するなんて」という発言を見ることがありますが、この差押えとBitcoin自体は直接の関係はありません。

Mt.Goxがダウンした理由

このように、Mt.Goxは登録義務違反を理由とした差押えを受け、それとBitcoin自身が持つ問題に影響を受けて凋落していきました。
Mt.Goxではここ半年ほど、アメリカドルの引き出しに大きな遅延が出ていたため、アメリカドルからBitcoinに両替する人たちが続出していました。
ですがそれは「Bitcoinからアメリカドルに両替したい人」がいないと成立しない取引です。そのため一部では、「実はアメリカドルを自由に引き出せるユーザーがいるのでは無いか」という噂さえあります。
もちろん噂に過ぎませんが、差押えに端を発した不信感が増大し、今回のような事態が発生したと言えるでしょう。

インターネット上には、Mt.Gox上層部が作成したといわれるCrisis Strategy Draft(危機戦略草案)が流出し、2014年4月に新しく「Gox」としてスタートすると言われていますが、果たしてどうなるでしょうか。
Goxとして不死鳥のごとく甦るか、他の両替所が頑張ってBitcoinを復活させるのか。少なくとも、私は本件に関して知識はあっても時勢が読めないので、投資は見送ることにします。